学習の栞

学びたいことと、学ぶべきことと、学べることの区別がついてない人間の進捗管理

CODE FESTIVAL 2017 予選通過記

例年はCode Festivalの本戦参加記だけを書いているのだけれど,今年は予選が激戦だったので書き残すことにした.技術的な内容は含まない所謂ポエムである.

今年のCode Festivalの情報が出たのは7月末.過去3年間日本人学生上位200名がCodeFestivalの参加対象だったのだが,今年の日本人学生の参加枠は80名に減っていた.上位200名の通過枠であれば,過去の例から言ってTopCoderのDiv1で戦っている競技プログラマであればほぼ確実に通過できる難易度なのだが,上位80名が通過ラインとなると通過には相応の実力が求められる.日本人順位80位のレートはTopCoderでは1600強であり,AtCoderでは2300強である.この参加枠減少の発表を受け,競技プログラマの一大交流サイトであるtwitter上では大変な騒ぎとなっていた.なお,昨年より追加されていた海外学生の出場枠は20枠と昨年と同様の数が維持されていた.ただし海外学生枠については地域的な多様性を考慮した選抜方法に変更されており,強豪国の参加枠が実質的に数枠減ったことになる.

予選A,配点から4問目の700点問題を早解きが通過ラインとなることが予想される配点であり,事実そのようになった.私は4問目を時間内に解くことすらできず通過は叶わなかった.昨年までであれば予選Aでの通過枠が100名前後に設定されていたため,予選Aで通過を決め気楽に予選B,昨年からは加えて予選Cに出場することができていたのだが今年はそうはならなかった.私の実力と通過枠の狭さから順当と言えば順当なのだが,3問目までをそれなりの速さで解いていただけに悔しかった.

予選B,配点は予選Aと同様に4問目の700点問題が通過ラインとなるような設定であった.結果を見ると700点を解いて4問正解していた参加者は予選通過,3問目を落としたものの700点問題を正解し早い段階で3問正解していた参加者も予選通過したようだ.この予選で通過し予選Cに賭けることは避けたかったのだが,そう甘くはなく結果は3問正解.しかも正解した時間もかなり遅くコンテスト終了時点で全く期待できないとわかる順位を取ってしまった.4問目も正解を導くのに必要な考察自体はできていたのだが,動的計画法に落とし込む最後の段階で失敗してしまい,挙句貪欲法を考え始めるという有様であった.

予選C,やはり4問目の700点問題が通過ラインとなる設定だった.予選Cの実際の通過ラインは1-3問目までを高速に(おそらく10分以内で)正解するところにあったようだ.私はこの予選で無事4問目に正解し,本選進出を決めることができた.4問目正解時点での日本人順位は20位で,残りの問題は高難度問題であったからその時点で予選C通過は殆ど確定であった.40分弱で4問正解した後は落ち着いて順位表を眺めたり,高難度問題を考察してみたりすることができた.

予選を通して,Code Festival,また日本人学生の競技プログラミングのレベルが上がっていることを実感した.最初のCode FestivalはTopCoderの緑コーダーレベルでも十分に通過が可能なコンテストであった.それが今年はAtCoderでいうところの橙並のパフォーマンスを出さねば予選通過できないコンテストとなってしまった.今年は参加枠の半減という大きな変化があったものの,それを差し引いても日本人学生の(あるいは日本に限らず世界全体の)競技プログラミングレベルは上がっている.初心者から上級者まで楽しめる十人十色のプログラミングコンテストを謳い,200名の参加枠を設定した最初の Code Festival,200名の設定では本当の初心者を本選に呼ぶことができなかったという理由で行われた最初のCode Thanks Festival,あの頃からするとCode Festivalの色は随分と変わってしまったと感じる.あれだけの規模のイベントを開くのだから予算的な問題があることは承知しているし,むしろ昨年まであの規模で,そして縮小したとはいえ今年もこの規模でオンサイトコンテストが開かれること自体素晴らしい事だと思う.そうはいっても一抹の寂しさを感じずには居られないのだ.

何はともあれ,これまでの3回のCode Festivalでもそうだったように,来るCode Festivalでもそこで夢のような時間が流れることは疑いない.私にとっては最後となるCode Festivalで少しだけ夢の時間に浸ってこようと思う.


これは蛇足だが,(おそらく)今年から「本プログラミングコンテストの結果は、リクルートホールディングスインターンシップ並びに採用選考とは一切関係ありません。」の文言がCode Festival公式サイトに追加されている.あれだけ競技プログラマを食い散らかしていればそう書かざるを得なくなったのも頷けるが.